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paorinna's closet

       ~書いた記録と雑文と雑感~

王様の耳はロバの耳屋

こんにちは、ああ、あなたですか、先日もお話ししましたね。今日はどんなお話ですか?え、この間の話を誰かにしていないかですって?大丈夫ですよ、今の世の中には個人情報保護法というものがあるし、何より私の主義として秘密は守ります。お金も一切いただいておりません。あなたは言いたい放題お話しをしてくれてかまいません。
どんな話でもかまいません。私はあなたのお話を時には共感を持って頷き、時には適度に反論しながら全て受け止めます。ただし制限時間はございます。もうこれ以上うかがってもどうにもならないと判断すれば、そこでストップはさせていただきます。私の忍耐力も無限ではないのですから。


先日は家族と連絡が取れずに困っているという話でしたね。よく覚えているって?そりゃあお話をうかがうのが私の仕事ですし、お名前をうかがえばだいたいの内容は思い出します。あれから連絡は取れたのですか?やはり取れませんか?連絡が取れない、送金がない、だから全ての支払いも何もできずに生活が立ち行かないということですか。

それは困りましたね。どこかに相談されたのですか?どこにも相談されていないのですか?それならば私にお話しをされるよりも先に公的機関できちんとお話しをされることをおすすめします。私はあなたのお話をうかがうこと以外には何もできないのです。そこを何とかして欲しいと言われても私には何もできません。「ご事情はお察しいたしますが、私にはできることはございません、お力になれず申し訳ございません」という言葉を繰り返す以外にはできません。なるべく早めにしかるべきところへ相談に行ってくださいね。さようなら。


私の仕事は王様の耳はロバの耳屋。正確には「王様の耳はロバの耳」と叫ばれる井戸だ。あの井戸と違うことと言えば私は話を広めない。

私の姿は彼らには見えないから誰もが好きなように言葉を投げつけてくる。質問、相談、愚痴、脅し、罵声、相槌が欲しいだけの独り言。受け止め続けた言葉は一日の終わりに見えないゴミ箱に放り投げる。それでお終いだ。あんな言葉を溜め込んでいては心も身体も消耗する。だから「アホか」と呟きながら思い切り放り投げる。

きっと私が放り投げた言葉をゴミ箱も「アホか」と呟きながら焼却炉に放り込むのだろう。

 

 

王様の耳はロバの耳屋 ~ madokajee | Respective Colours *Magazine*